森岡孝二先生の急逝を悼む
過労死防止学会の皆さま
去る6月2~3日、札幌の北海学園大学で開催された第4回大会の総会で代表幹事に選出されました黒田兼一(明治大学)です。
本来は、前代表幹事の森岡孝二先生に支えてもらいながら、もっと早くに就任の挨拶をすべきでしたが、最初の挨拶が哀しい内容になってしまわざるをえないこと、私としても辛く、残念なことです。
既に多くの皆さんがご存知のように、ご遺族からの連絡では、森岡先生は、8月1日、ご自宅で倒れられ、同日午後6時17分に亡くなられたそうです。慢性心不全急性増悪によるご逝去だったそうです。
7月15日(日)に京都・聖護院「御殿荘」で開催された「夏の学習交流会」(過労死を考える家族の会等主催)にはお元気な姿で動き回っておられました。御殿荘の中庭には「足湯」があり、庭を眺めながら先生と「足湯」を楽しみながら、語り合い、その後の懇親会で「黒田さん、僕の隣に座って下さい」といわれ、京都料理を楽しみながら、「黒田さん、私がしばらく事務局長として残ってサポートしますから、ぜひとも頑張って下さい」と激励して下さいました。これが最後でした。
6月末には本学会としても過労死の誘発に繋がるとして警告を発してきた「高度プロフェッショナル制度」を含む法案が国会で可決されてしまいました。過労死防止という視点から、決して許されない立法ですから、その負の影響を除去するためにこれからという時の森岡先生の急逝です。たいへん大きな痛手です。悔やんでも悔やみきれませんが、他の誰よりも先生ご自身が道半ばで悔しい思いでいらっしゃるでしょう。考えてもみれば、先生は、ご自身の身体ごとをもって、この日本の「働くこと」をめぐる異常・異様な状況に警告を発したのだと考えます。
ここに森岡先生を失い、深い悲しみに襲われ、茫然自失の感に陥ってしまいます。残念至極です。しかし残された我が学会として、先生の遺志をしっかり受け継いで、この日本から働き過ぎの災いを一掃するための研究と活動に専念していかねばなりません。それが、本学会の創設以来、常に熱い情熱をもって先頭で牽引してこられた森岡先生への報いとなると思うからです。
森岡先生の突然の訃報を学会として会員の皆さまにお知らせすると共に、先生のご冥福を心よりお祈りします。
2018年8月21日
過労死防止学会代表幹事
明治大学 黒 田 兼 一