過労死防止学会

Japan Society for Karoshi Research

過労死防止学会設立ニュース

朝日新聞デジタル 2015年4月9日
http://www.asahi.com/articles/DA3S11695319.html

過労死防止学会、5月に発足 遺族・弁護士らも参加

長時間労働による過労死や過労自殺は年間100人を超え、男性正社員のほぼ5人に1人が国の定めた「過労死ライン」にあたる月80時間以上の残業をしている。過労死をいかに防ぐか。労働法や経済学、医学の研究者や弁護士、遺族、労働者、ジャーナリストらが5月、「過労死防止学会」を発足させる。

過労死や過労による病気の実態や原因について調査研究し、国際的な比較も交えて効果的な防止策を追究する。代表発起人は、全国過労死家族の会の寺西笑子代表、全国過労死弁護団の川人博幹事長、関西大の森岡孝二名誉教授(企業社会論)の3氏。

労働基準法は1日8時間を超えて働かせてはならないと定めるが、労組が同意すれば月200時間の残業を認めている。割増賃金の支払い義務を長時間労働の歯止めとしてきたが、政府は働いた時間に関係なく賃金が決まる新しい働き方「残業代ゼロ」制度の導入を進めている。

森岡さんは「会社につくす長時間労働は男性の家庭参加を阻み、女性の社会参加を困難にする諸悪の根源。過労死が社会問題化して四半世紀。減る兆しもない状況の改善につなげたい」。

5月23日に東京で設立総会を開く。詳しくは学会のサイト(https://www.jskr.net/ 別ウインドウで開きます)。

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神戸新聞 2015年(平成27年)4月14日

過労死防止へ学会設立 学者、遺族ら連携 実態調査
来月記念大会

深刻さを増す過労死の実態を調査する「過労死防止学会」が5月に設立される。法律家や経済学者、社会学者、医師、過労死遺族らが既存の学問分野を超えて研究し、効果的な防止対策を探る。

過労死が問題になって30年以上たつが、過労死・過労自死の正確な数すらつかめていない。過労が引き起こす脳・心臓疾患や精神障害の労災補僅請求は約2200件(2013年度)に上るが、労働問題に詳しい弁護士らは「氷山の一角にすぎない」と指摘する。

昨年11月、過労死等防止対策推進法が施行され、過労死防止を国および自治体の責務と定め、国の責任で調査研究することが明記された。この問題に長年取り組んできた森岡孝二・関西大名誉教授らは「民間での調査も必要」と声を上げ、防止学会が設立されることになった。

設立時は少なくとも100人は集まる見込み。研究者のほか、労働者の健康に関心を持つ労働者、過労死遺族らも参加する。遺族は家族を失った体験を基に再発防止に必要な措置を発言していくという。森岡さんは「学問研究だけでなく、過労死防止に向けた啓発、情報発信にも取り組みたい」と話す。

5月23日に東京都千代田区の明治大学駿河台キャンパスで設立記念大会を開く。全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子さんや熊沢誠・甲南大名誉教授らの報告がある。

入会は同学会のホームページから。http.//www.jskr.net/    (中部 剛)